事業等のリスク
当社グループの事業は、全て不動産に関連する事業であることから、不動産市況、住宅関連税制、住宅ローン金利水準等による購買者の需要動向、各種不動産法規の改廃、建築資材の原材料の価格動向等に影響を受けております。
当社グループの事業展開においてリスク要因となる可能性が考えられる主な事項は、以下のとおりであります。当該リスクが当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす金額は不明ですが、リスクが顕在化した場合は、事業継続の観点から、純資産の範囲内で賄えることが、リスクの最大の許容量と考えております。当該リスクの顕在化する可能性は、常にあるものと認識し、それぞれ対応策を講じております。また、当該リスクが顕在化した場合の経営成績に与える影響が大きいものから順番に並べて記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
法的規制について
当社グループの属する不動産業界は、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、建築士法、都市計画法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、マンションの管理の適正化の推進に関する法律等の様々な法的規制を受けております。当社グループでは、上記の法令を遵守するためにコーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス推進体制を強化するとともに、法務部門が作成した法令順守のチェックリストを用い、関係各部署による宅地建物取引業法及び建設業法のセルフチェックを行っております。また、内部監査部門による宅地建物取引業法・建設業法コンプライアンス監査を実施しております。
しかしながら、今後、これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制強化が行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
たな卸不動産の価値の下落について
当社グループは不動産販売業という性質上、たな卸不動産の評価が損益に直接的な影響を与えるため、この評価を誤ると財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業用地の仕入れに際して、営業面、資金面、リスク等について、事前に関係各部署が十分に協議し、その結果を踏まえて仕入れを行っております。しかし、土地を取得し開発、宅地造成工事を行い、建物を建築し販売を完了するまでの工事期間が長期にわたるため、その間の不動産市況の悪化等により、販売を開始したものの当初計画通りに契約獲得が進まず、販売可能価額の再設定が必要になる場合があります。また、開発計画時において予期し得なかった事象の発生に伴う工事の長期化や遅延、変更、中断等が生じた場合にはコストが増加し、結果として当初想定の利益が見込めなくなります。
以上のことから、たな卸不動産については、販売可能性を考慮した最新の販売可能価額を把握するとともに、期末時点の見積追加原価及び見積販売経費を控除した正味売却価額を算出し、期末ごとに正味売却価額と簿価を比較し、簿価切り下げ要否の判断を行っております。
なお、今後におきまして開発計画時に予期し得なかった事象の発生に伴う工事の長期化や中断、その他不動産市況の悪化等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
有利子負債について
当社グループは、「幸せはこぶ住まいづくり」、「買っていただいたお客様に幸せになっていただくこと」を事業の目的とし、売りっ放し建てっ放しをしないお客様に顔を向けた責任のとれる住まいづくりを経営の基本として事業を展開しており、当社グループの経営姿勢を理解してくださる多数の金融機関から好意的に融資を受けることが出来ております。当社グループにおいては、原則として分譲住宅事業のプロジェクト案件ごとに、用地の取得資金と開発費用等そのプロジェクトの推進に必要な資金を、プロジェクトの期間に応じて短期借入金、長期借入金での調達を行っており、有利子負債残高の合計額は総資産に対して比較的高い水準で推移しております。また、運転資金については、原則として手持資金で賄うこととしておりますが、資金繰り弾力化のため、当座借越枠をはじめ、一部短期借入金、長期借入金及び社債発行により調達することがあります。
近年においては、低金利の継続により、金利負担は比較的低水準で推移しておりますが、金利の引き上げ要請があった場合、または将来において金融引き締めの影響等で金融機関から返済を迫られ、新たな融資を受けることが出来なくなった場合、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、金融機関との間でシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しており、たな卸不動産の仕入れに係る資金調達の一部に活用しております。当該契約においては、一定の担保制限条項及び財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合には当該借入金の返済義務が生じる可能性があり、その場合は当社グループの財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
災害等によるリスクについて
当社グループは、社員の安全・健康を事業経営の基盤と捉え、大地震対応マニュアルの作成や緊急連絡・安否確認システムの構築、災害備蓄品の設置、定期的な火災訓練等を実施しております。また、当社グループは、たな卸不動産・事業用固定資産等の様々な不動産を保有しております。地震や火災、その他の災害に備えて、当社グループの純資産が大幅に棄損しないように、保有資産の規模・重要性等を考慮した上で、適切な火災保険・地震保険・損害保険等に加入しております。しかしながら、当社グループは、大阪府全域、兵庫県南部及び和歌山県北部を主たる営業地盤として地域密着型経営を行っているため、近畿地方を中心とした南海トラフ地震等の災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは、リスク・コンプライアンス推進委員会において、多人数が集まる社内外での会議やイベントの延期、テレワーク、時差出勤の推奨、オフィスや各事業所におけるアルコール消毒液の配備、手洗いやマスクの着用の徹底の周知などの行政機関の方針に沿った全社的な感染予防対策を実施しながら、新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う影響を最小限に止めるための対応に取り組んでおります。しかしながら、今後感染状況がどのように収束するか、経済や社会にどのような影響を及ぼすか、先行きが不透明な状況が続いております。再度、営業活動の縮小による受注減及びサプライチェーンの不安定化による建築物件の設備等の納品遅れや、それに伴う工期の遅延等が今後も長期的に続くようであれば、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
原材料・資材価格等の高騰について
建築コストは仕入価格とともに売上原価の主要項目であり、国内外市場の動向等により原材料・資材・物流等の価格が上昇した場合は、上昇分に応じて販売価格に転嫁しております。しかしながら、想定を上回って建築コストが上昇し、販売価格へ転嫁することが難しい場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
契約不適合責任について
当社グループの不動産販売事業において、新築住宅は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)及び宅地建物取引業法の規定に基づいて、構造耐力上主要部分と雨水の浸入を防止する部分については引渡し後10年間、その他の部分については引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。中古住宅は、宅地建物取引業の規定に基づいて、引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。また、請負物件については、品確法の規定に基づいて、構造耐力上主要部分と雨水の浸入を防止する部分については引渡し後10年間、その他の部分については引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。
当社グループは、建設工事の工程ごとにチェックリストを用いて完了チェックを行い、品質管理に万全を期しております。しかしながら、当社グループの販売した物件や請負った物件に契約不適合があった場合には、契約不適合責任に基づく当該不適合部分の補修や損害賠償、契約の解除等により予定外の費用を負担せざるを得ないことがあり、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
人財の確保・育成について
当社グループは、長期的な安定経営を行うことを基本方針とし、優秀な人財の採用及び育成とストレスのない働きやすい就業環境を維持することが重要課題であると認識しております。近年、少子高齢化の進行と労働人口の減少、価値観や働き方の多様化など、労働市場を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、今後も継続的に優秀な人財を採用し、社員が働きやすく長く活躍できるような環境を維持して参ります。しかしながら、当社グループの求める人財を十分に確保・育成することが出来なかった場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
外部の協力業者へ委託している業務について
当社グループは、建設工事における施工面の大部分を外部の協力業者へ委託しております。社員や取引先等の関係者を通じて協力業者を紹介していただくなど積極的な新規開拓に取り組むとともに、既存の協力業者に対しては、表彰制度や健康診断の案内と実施、協力業者にとって有益な書籍などの情報発信を行うことによって良好な関係の維持、強化を図っております。しかしながら、当社グループの選定基準に合致する協力業者を十分に確保できなかった場合や、協力業者の経営困難や労働者不足に伴う工期の遅延や外注価格が上昇した場合等には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
個人情報の管理について
当社グループは、事業を通して取得したお客様の個人情報を多数取り扱っております。当社グループにおいては「個人情報の保護に関する法律」に基づき、プライバシーポリシーを策定し個人情報の取り扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を公表するとともに、社内規程の整備、管理体制の構築を行い、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により、重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用力の低下や多額の損害賠償の請求等によって、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。