「アニキ、代わりにおれがやる」

貧しさから抜け出したい。中学時代はその思いから、一流高校、一流大学に行き、一流企業に入ることが夢でした。幸いにも高校進学は許されましたが、通った先は工業高校。卒業後、すぐに就職することが絶対条件でした。

高校を出たあとは繊維会社の設計や航空管制官などの仕事を経験しましたが、転機となったのは25歳のときです。当時、私は結婚もして、ある不動産会社に就職しました。そしてこれと時を同じくして、実家の長兄が結核にかかってしまったのです。