「アニキ、代わりにおれがやる」

内気な今井に営業は向かないよ。友人からはそう言われました。正直、私自身もそう思っていましたが、悩む暇などありません。私は人の倍働くと決めました。帰宅は深夜12時過ぎ。休日もとらず、まさに寝食を忘れて仕事に打ち込みました。そして気づけば、営業に自信のなかった私が、常にトップセールスをあげ続けていました。

もちろん、これは私ひとりの力ではありません。夜更けまでチラシを作ってくれた妻。彼女が後に笑いながら、「生活が苦しいとき、こっそり嫁入り道具の着物を質に入れた」と話してくれたときは、ほんとうに涙がこぼれそうでした。