「アニキ、代わりにおれがやる」

その頃、結核といえば大病でした。多額の入院費用がかかるだけでなく、家計を支えていた兄が倒れたことで、代わって私が家族の生活を背負うことになりました。一番下の妹はまだ高校生。なんとしても卒業させなくてはなりません。

就職した不動産会社は入社3ヶ月目までは固定給、その後に歩合給となる予定でした。私はまだ入社して3週間たらず。にもかかわらず、営業会議の席上、すぐに営業の第一線に出してもらえるよう願い出たのです。私にはとにかくお金が必要でした。